47式アンプ(改)の見直し

47式アンプ(改)回路定数再検討

ぼちぼちヘッドホンアンプの部品が揃い始めましたので、最終的な回路定数を煮詰める作業を行うことにしました。ClassAAアンプよりも47式アンプ(改)の方がひずみとノイズの面で優位というシミュレーション結果が出ましたので、一旦ClassAAアンプは捨てて47式アンプ(改)を更に改良したいと思います。

先ずは出力部分に入っているR1(10Ω)のダンピング抵抗の効果を見てみたいと思います。接続する機器のインピーダンスと回路のインピーダンスに差がある場合、ダンピング抵抗が無いと信号の反射が起き、ひずみが大きくなることが考えられます。本当のところどうなのか、ダンピング抵抗がある場合と無い場合をLTspiceでシミュレーションしてみようと思います。

まずはダンピング抵抗がある場合です。

接続されるイヤホンに見立てた22Ωの抵抗の前に10Ωのダンピング抵抗がある場合

次に10Ωのダンピング抵抗が無い場合を見てみましょう。

出力部分のダンピング抵抗10Ωをなくした場合 わずかにノイズが多くなっているように見えます

ほんの僅かですが、ダンピング抵抗があった方が全体的にノイズが少ないように見えます。ダンピング抵抗によって出力レベルが全体的に下がっているためにこうなったとも言えます。差がほとんど無いならば、セオリーどおりダンピング抵抗は入れておいた方が良いと感じましたので、ダンピング抵抗ありにしたいと思います。

次に、ボルテージフォロワの出力部分に挿入した47Ωの抵抗は必要なのか、今一度シミュレーションしてみたいと思います。一度、この抵抗をなくしてシミュレーションをした結果、発振してしまいましたが、今一度確認してみたいと思います。

ボルテージフォロワ出力直後の抵抗を省略した場合

やはり発振してしまっています。負帰還回路に100pFの位相補償用キャパシタが入っていますが、それでも発振してしまうようです。盛大に発信しているのは500kHzあたりですので、聴感上は問題ないかも知れませんが、オペアンプの発熱や消費電力の増大が懸念されますので、やはり抵抗R3の省略はしないほうが良いと判断しました。

では、R3の抵抗値47Ωの妥当性をシミュレーションで確かめたいと思います。R3が47Ωの時のFFTグラフは一番上のグラフに示していますので、先ずはR3を100Ωにした時のシミュレーションをしてみます。

ボルテージフォロワ出力直後の抵抗値を100Ωにあげた時のシミュレーション結果

ほとんど誤差の範囲でしょう。47Ωの時とほとんど変わりません。R3は出力に影響しますのでできれば小さくしたいので、ぐっと小さくして10Ωの時のシミュレーションもしてみたいと思います。

出力を確保したいので、R3はできるだけ小さくしたいので10Ωにしてみました

これもほとんど変わりません。ということは、発振さえしなければR3は小さいほど良いので10Ωにしたいと思います。ということで最終的な回路は決まりました。部品が揃い次第ブレッドボードで組んで検証してみたいと思います。本家47式アンプはR3を47Ωとしていますが、恐らくこれは位相余裕度の小さいオペアンプでも安定して動作するように配慮してあるのだと思います。今回私がシミュレーションで使用したオペアンプは電圧増幅段にはオフセット電流の少ないTL072を、ボルテージフォロワには力持ちなNJM4556を使用しました。どちらもスルーレートは控えめで、発振しにくいオペアンプですので、今回検討したようなラフな回路でも動作するのだと思います。

当初はClassAA回路を採用しようとしたのですが、結局オペアンプ二段直列しても発振しない方法が分かりましたので、47式(改)で組むことにします。初めてLTspiceを使用しましたが、実際に回路を組む前に机上でのシミュレーションができるのは大変便利です。ただ、LTspiceは回路がどのように動作するかは教えてくれますが、何故そのように動作するのかは残念ながら教えてくれません。今回の場合ですと、最初は出力のオフセットに悩まされたのですが、これをどうやって解決すれば良いかは教えてくれませんでした。そして、何故ボルテージフォロワの出力から直接帰還をかけると発振してしまうのかも最後まで教えてくれませんでした。そういった意味では先ずはデータシートを読むという基本的なことは避けては通れないようです。そしてもう一つ、今回使ったTL072やNJM4556のような古いオペアンプの良さも再認識しました。

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